子どもはよく熱を出します。受診される主訴として1番か2番目に多いものです。大人に比べてはるかに頻度が高く、とりわけ生後6か月を過ぎて1,2歳ころまでに何回も出すのがむしろ普通です。生後初めて出会うウイルスや細菌に対する抵抗力が弱いことが基本的な原因と言えます。インフルエンザでは年齢を問わず高熱となることが多いです。
[原因]
初めて高熱を経験する原因として多い突発性発疹、風邪、インフルエンザ、溶連菌などの他人から感染する感染症などが主な原因となります。もちろん、夏の暑さなど外気に影響される熱、感染症以外の様々な疾患でも熱を伴うものはたくさんあります。
[持続日数] 3日間までがふつうの風邪、突発性発疹などの通常の持続期間と言えますが、4日以上続く熱では風邪症状がある場合、単なる長引きか、気管支炎、肺炎を合併はどうか、別の病気がないか診てもらい、必要に応じて検査をすることになります。
[対処]
38℃程度なら、安静で水分補給を心がけることで良いと思います。それ以上になってくるとつらさも出てくるのでクーリングしたり室温も涼しめにして過ごしやすくしてあげましょう。高熱だからすぐに病院にかかるという必要はありません。夜に発熱したら翌朝受診で十分です。ただし乳幼児の数分にわたる「熱性けいれん」は救急受診の必要があります。救急車要請してもよいです。ただ高熱で少し震えがある場合を悪寒といい、呼びかけに反応があり手足も緊張がないなら様子を見てよいです。
[病院では]
乳幼児の場合、風邪や突発性発疹などウイルスの感染がほとんどなので、最初から抗生物質などの薬剤による治療は考えません。細菌感染を疑うときは、中耳炎や肺炎の合併をチェックしたり、溶連菌迅速検査や血液や尿検査をします。そこで細菌感染が確定、ないし疑い濃厚となれば、抗生物質で治療することになります。ヒブや肺炎球菌ワクチンが普及した現在、細菌感染症がますます減少していくことが期待できます。ウイルス感染では種類によって発熱期間がある程度決まっており、自己の免疫力で治すことが基本で、薬による治療は解熱剤など対症療法として、ないし合併症に対して行うことになります。その他、川崎病では発疹や眼球充血など他の症状でわかるもの、原因が不明ですが、繰り返し一定期間熱が持続する病気もあります。熱が持続する場合は体温表を付けながら、原因検索と治療を受けてください。
[予防]
家族が風邪をうつさないに越したことはありませんが、保育園での流行でかかることは避けられないことがあります。幼少時は十分な睡眠、水分、栄養補給に加え、寝冷え、入浴後の湯冷めなどに注意したいものです。髪はきちんと乾かし、寝る時の服装も季節にあったもの、暑すぎない適切な布団で、はがされてもまめにかけてあげましょう。(野間清司)